弊社では昇華転写という手法で生地にプリントしています。昇華転写とはあまり聞きなじみのない言葉だと思います。そこで、今回は昇華転写について簡単にご説明させていただきます。

昇華転写プリントは、フランスのProvost Masurel社によって1958年に開発された技術で染色方法としては捺染と呼ばれる技法のひとつ転写捺染法に含まれます。昇華とは固体から液体を経ずに気体となる状態を表す科学用語です。

印刷された転写紙にポリエステル生地を密着させて圧力をかけ 180℃~200℃で60秒程度加熱します。

まず昇華性の高い分散染料(ポリエステル樹脂を染める染料)から作製されたインクを使用して専用の印刷用紙に絵柄を印刷します。

すると、熱により膨張したポリエステル生地の分子間におなじく熱で気化した染料が入りこんで発色します。

温度が下がるとポリエステル生地の分子間が縮まり染料が生地に閉じ込められます。

印刷方法は、以前はグラビア印刷やシルクスクリーン印刷などが一般的でしたが、近年では弊社で行っているインクジェットプリントが主流となっております。

インクジェットプリントによる昇華転写には多くのメリットがあります。

まずは発色が色鮮やかです。そして生地を直接染色するので顔料系のプリントに比べて風合いが良く自然な手触り感があります。

インクジェットのプリントなのでグラデーションやぼかしが表現でき、フルカラーの画像もきれいに印刷できます。

そして一枚からという小ロットでの生産が可能です。シルクスクリーンで印刷しようとすると版を作る必要があり、フルカラーの画像を表現しようとするとCMYKという基本の4色それぞれの分版を作成してそれらを重ねて印刷するという手間もかかります。インクジェットプリントでは短時間で製品をお届けすることが可能です。

ただしデメリットもあり、まずプリントできる素材がポリエステル生地に限られるということです。木綿やシルク・ナイロン生地には適しておりません。

そして昇華転写という方法で染色しているため、アイロンや乾燥機を高温でかけると

再昇華して色が落ちたり他の生地に色移りしてしまう可能性があります。アイロンをかける際は、中・低温で軽く押さえるようにかけてください。

シルクスクリーン印刷と異なり大量ロットでの生産には向いていませんしコストも下がりません。

昇華転写プリントは、その方式の特殊性から通常の紙にインクジェットプリンターでプリントする際に比べて色の発色が異なる場合があります。これは、昇華温度を合わせるために通常のCMYKインクとは若干色調の異なるインクを使用しているためで、前もって色の確認を行っていただくことをお勧めします。

以上昇華転写プリントの性質をご理解いただき、タペストリーの作成にお役立ていただけたらと思います。

弊社のインクジェットプリンタをご紹介します。最大1850mm幅までのプリントが可能で、蛍光インクにも対応しております。

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